Logarithmic decrement 判定(対数減衰率判定)のご紹介
インパルス巻線試験機「DWIT-05」では、12bitの高分解能と300MHzの高速サンプリング技術を活かし、従来の試験機では難しかった微細な波形変化を捉えるための新しい判定指標が導入されました。その中の一つである「Logarithmic decrement(対数減衰率)判定」は、コイルの品質を物理的特性に基づいてより詳細に評価するための画期的な手法です。
■ Logarithmic decrement 判定とは
Logarithmic decrement(Ldmp)判定は、インパルス電圧の印加後にコイル内で発生する「自己共振波形」の振幅が減少していく度合い(減衰率)を数値化して評価する手法です。
コイルの電磁振動は、巻線抵抗やコア材の磁気抵抗などの「損失要素」によってエネルギーが消費されるため、時間の経過とともに減衰します。この減衰の様子は「Qファクタ(Q値)」として表現され、Ldmp判定はこの減衰の仕方を直接測定することで、試験対象のインダクタンスやコンデンサ成分の変化、あるいは損失の有無を鋭敏に検知します。

この判定では、判定範囲内のピーク電圧から算出された「対数減衰率の平均(δ)」をマスタ波形とテスト波形で比較し、その差をパーセンテージ(%)で算出します。
| (テスト波形の対数減衰率-マスタ波形の対数減衰率) | × 100 [%] |
| マスタ波形の対数減衰率 |
算出された数値が、あらかじめ設定した許容範囲(上限値・下限値)を超えた場合に「NG」と判定されます。
■ 他の判定との違い
従来の代表的な判定方法と比較すると、Ldmp判定には以下のような特徴があります。
Area判定は指定範囲内の波形の面積(積分値)を比較するのに対し、Ldmp判定は波形の「しぼみ方(減衰の速さ)」そのものを評価します。面積比較では見逃してしまうような、エネルギー損失の微妙な変化を捉えるのに適しています。
◆ Frequency判定(周波数判定)との違い
Frequency判定は波形の周期(左右のズレ)を測定し、インダクタンスや浮遊容量の変化を評価します。対してLdmp判定は、周期ではなく振幅の減衰(上下の減衰幅)に特化して評価を行います。
◆ Q damping判定との違い
Qdmp判定も面積比較の一種ですが、波形のピークやゼロクロスポイントを基準に範囲を自動調整して面積を比較します。Ldmp判定は、面積ではなく物理的な「減衰率」を直接算出する点が異なります
■ どのような不良を検出できるのか?
Ldmp判定は、主に以下のような原因で生じる波形の変化を検知することに長けています。
コイル内でショートが発生すると、閉ループが形成されエネルギー損失が増大するため、波形の減衰が早まります。
◆ コア材(磁性体)の違いや不具合
コアの材質や状態が異なると磁気抵抗(損失)が変化するため、減衰波形に影響が現れます。
◆ インダクタンスやコンデンサ成分の変化
巻線数の間違いや、浮遊容量(C成分)の微細な変化を、波形の減衰傾向の違いとして捉えることができます。
これらの物理特性に関連した特徴量を抽出することで、従来の面積比較だけでは判別が難しかった高品質な巻線製品の選別が可能になります。







